BESシステムにより断熱効果を高め熱エネルギーの効率を検討する際には下記の3要素に鑑みる必要があります。
固体または静止している流体の内部において高温側から低温側へ熱が伝わる伝熱現象。
固体は温度が高い場合に振動エネルギーが大きくなることから、隣の原子と相互作用しながら高温から低温側へ熱エネルギーを伝え、金属の場合は自由電子が熱エネルギーを伝達することからより熱伝導率が高くなります。伝導熱は素材により『伝わりやすさ』が変わります。
▶︎フーリエの法則
流体(液体・気体)から固体へは流体の速度と表面積に応じ熱が伝達されることとなり、炉内から炉壁に伝わる熱エネルギー量は、炉内の流体(液体・気体)の温度・速度と炉壁の表面の粗さ(表面積)により、『伝わる量』が変わります。
▶︎ニュートンの冷却法則
これらを施工部分拡大図で説明すると下図の通りとなります。
■熱伝導量
単位時間・単位面積当たりの熱伝導量
=- 熱伝導率 x (炉外壁温度 ー 炉内壁温度) ÷ 炉壁厚
で示されます。
炉外壁温度が高いほど、熱流束=熱伝導量は減少することとなります。
■熱伝達量
単位位時間・単位面積当たりの熱伝達量
=- 熱伝達率 x (炉内壁表面温度 ー 炉内流体温度)
で示されます。
物体まの熱が電磁波という状態で放出され、物質(媒体)が無いのに、離れたところに熱が伝わる現象。
気体・液体または固体を構成する原子や分子から、温度に依存する電磁波が放出されていることを『放射熱』と言います。 原子・分子の熱運動により熱放射は発生し、その放射特性は物質の種類と温度で決まります。これは伝導熱エネルギーが放射熱エネル ギーに変換されることを意味します。BES素材は分光放射率0.85~0.90 (@160℃計測値)の素材で、効率的に放射熱が発生します。ま た、BES素材からの単位放射エネルギーは、シュテファン・ボルツマンの法則に基づき、求めることができます。
■シュテファン・ボルツマンの法則
黒体の全輻射エネルギーSは、絶対温度Tの四乗に比例します。
これは「シュテファン‐ボルツマンの式」と呼ばれます。
S=σT⁴
この σ のことを「シュテファン‐ボルツマンの定数」といい、
5.670374419…×10-8 W m−2 K−4です。
BES素材から放射される放射熱は電磁波ですので、その外側にアルミ素材を置くことで反射され外部に漏れることを回避します。
また、反射された放射熱はBES素材に吸収されます(キルヒホッフの法則:熱平衡状態において、エネルギー放射率と吸収率は等しい)。
アルミ板(鏡面)の反射率は90-95%となります。
対流熱とは空気が動くことで、その空気の熱が伝わる現象。
BES素材から、アルミ板との間にある空気に熱が伝導し、その空気が対流することにより熱エネルギーのロスが生じます。 これをBES素材塗設部分拡大図で説明すると下図の通りになります。
【 結論 】
BES SYSTEMは素材配置を最適化し、省エネルギーを実現します。
以上の 1.伝導熱、2.放射熱、3.対流熱の構造に鑑み、最善の形で素材配置を行う事により、熱流束を矮小化=省エネルギーを実現します。(BES素材による伝導熱の放射熱への変換、その放射熱をアルミ素材により反射することで、『放射熱ロス』を最小化させつつ、BES素材に滞熱させ、結果、BES表面部と炉内温度との温度格差の縮小=熱流束を縮小させることとなります)
燃焼効率上昇について
その効果はバーナー本体の燃焼効率によるところが大きい。
これまでの導入実績をベースに考察すると、その効果の程度はバーナー本体の燃焼効率によるところが大きいと考えられます(燃焼効率の低いバーナーほど効果が大きい)。
BES素材を塗設することにより、熱量をBES素材で放射熱に切り替り、通常の断熱材施工では得られない断熱効果を発揮します。
まずは、上記サーモグラフィー写真内で、壁が緑色になっている部分、これは炉外壁からの放射熱が建物の壁に当たり反射しているもので、それだけ放射熱が炉本体から放射されていることとなります。また、赤くなっている炉外壁部分に関しては、熱が空気に対して伝導している部分であり、かつ放射されている部分となります。
この炉壁面部分にBESシステム(BES素材+アルミ+断熱材)を設置することにより、伝導熱の一定部分をBES素材で放射熱に切り替えます。この『放射熱への切り替え』が、通常の断熱材施工では得られないものです。その放射熱エネルギーはステファン・ボルツマンの法則により、放射エネルギー(S=σT⁴)にて試算されます。
この放射エネルギーは電磁波です。BESシステム内のアルミ板、もしくはアルミ箔により反射されることで外部に漏れず、BES素材に再吸収されます。BES素材は (炉外壁からBES素材が受け取る伝導熱エネルギー) - (BES素材から外に出される伝導熱エネルギー) - (BES素材から放射される放射エネルギー) + (BES素材が受け取り吸収する反射エネルギー)のバランスする温度となり、素材自体は、現在の炉外壁温度よりも高い温度となります。
BES素材温度が上昇することにより、炉内外部の温度勾配は緩やかになり、結果、熱流束自体が矮小化されると共に、放射によりロスしていた熱量も閉じ込めることで失熱を防ぐことができます。
また、現場の安全管理面からの装置表面温度という観点では、放射熱に変換されないBES素材からの伝導熱部分を、通常の断熱材で止めればよいだけとなりますので、必要とされる通常断熱材の量は減少させることが可能となります。